ヤム(阿部サダヲ)、まさかの再登場!間に合わなかった“あんぱん”が泣ける理由【あんぱん第80回レビュー】『あんぱん』第80回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第80回(2025年7月18日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

あの男が
朝ドラに帰って来た

「叔父さんがパンを焼くんですか」

 昨日はじまったテレビ朝日の連ドラ『しあわせな結婚』で阿部サダヲ演じる主人公にそんな台詞があった。おじさんとパンと言えば……ヤムおじさん。

 そして『あんぱん』に阿部サダヲ演じるヤムおじさんが帰って来た!

「よう。じいさんいるかい」

 釜次(吉田鋼太郎)の葬儀が行われているなか、ヤムがふらりと戻ってきた。

 彼はちっとも変わっていない。でも朝田家にはもう釜次はいなかった。

「ひでえじゃねえかよ」と呆然となるヤム。

 喧嘩友達みたいだったのに。再会することなく逝ってしまった釜次。今際は家族のことで精一杯で思い出しもしていなかった。

 喪服ののぶ(今田美桜)、蘭子(河合優実)、メイコ(原菜乃華)、くら(浅田美代子)、羽多子(江口のりこ)が言葉もなく、でも感慨をもってヤムを見つめている背後で「このひと誰?」というふうに状況が飲み込めていない参列者の表情が絶妙だった。余談だが、喪服で振り返るのぶがフォトジェニック。