すてきなバッグを愛でたことがあるなら
わかる違和感も
速記も役立って充実した日々。のぶは蘭子(河合優実)とメイコ(原菜乃華)にはがきを書く。蘭子は高知に来て、経理の職を得ていた。メイコはのぶに嵩(北村匠海)が赤いバッグを渡そうと走って高知の家まで来たことを手紙に書くと言うが、蘭子は止める。
例の赤いバッグは高知新報社の嵩の机の一番下の引き出しにしまってある。むき出しで。ないない。こんな状態だったら絶対に傷のひとつやふたつついているはず。いや、もちろん、箱に入れたり風呂敷に包んだりしたら、テレビ的に映えないので、むきだしにしているその都合はわかる。
でも生理的に、むきだしで長年放置されているバッグというものに違和感ばかり覚えてしまうのだ。たぶん、すてきなバッグを愛でたことがある人ならわかる感覚だと思う。でもいい。描かれないことに苛立つよりも、描かれない感覚を持っている自分を愛したいと思う。
嵩は1月号の付録を担当させられる。琴子(鳴海唯)の提案で双六を作ることになった。
浮浪児たちはのぶになつきはじめていた。辛いという文字に一本線を足すと幸せになる。アキラ(番家玖太)にそう教えるのぶ。「アキラ君も頑張ればすぐ幸せになれるがやき」と言われて、ちょっとうれしそうなアキラ。
さすがに教えるのがうまい、と鉄子は感心。そう、のぶの前職は教師であった。教師や記者のキャリアが役立っている。
子どもには食べ物だけでなく心の栄養が必要と言う八木(妻夫木聡)の影響で、のぶは子どもたちに勉強を教えていた。大事なのは、未来を考えることなのだ。
子どもたちは八木のおじさんよりのぶお姉ちゃんになついていた。「やさしいし、おめめがかわいいし」。子どもは正直と鉄子。「おめめがかわいい」は子供らしい評価軸だと思う。
そして再び、高知新報。アイデアが浮かばず、真っ白な紙の前にぼーっと座っている嵩に、東海林(津田健次郎)が差し出したものは――。
手嶌治虫(てじまおさむし)の描いた新聞漫画だった。まだ学生らしい。その漫画は2コマで、たわいない展開を生き生きとした絵で見せている。「すごいおもしろい」と余計に自信を失ってしまう嵩であった。
やがて手嶌との出会いが嵩の人生を変えていくことをそのとき思いもしない嵩なのであった。というようなナレーションは入らない。手嶌治虫は名前や絵柄から日本屈指の漫画家・手塚治虫がモデルである。すでに眞栄田郷敦が演じることが発表されている。登場が待ち遠しい。
