多くの企業がDXに取り組んでいるものの、十分な成果を上げているとはいえない状況にある。なぜ企業はデジタル変革で成功することができないのか。その本質的な原因を分析し、解決策を提示するのが新刊『Leading Transformation――チェンジリーダーが挑む「人起点」のデジタル変革』である。前回に続き、同書の序章の後半を特別公開する。(前編はこちら)

DXの停滞を打破するための新たな戦略とは?(後編)〈PR〉

DXを円滑に進めるために
新たな役割が求められるCIO/CDO

 こうした日本固有の企業風土を変革するためにも、今まさにテクノロジーの視点と経営の視点を併せ持ったCIO(Chief Information Officer)/CDO(Chief Digital Officer)の強力なリーダーシップが求められている。

 総務省の2023年の調査によると、CIO/CDOといったデジタル化の主導者が在籍する日本企業は35.1%にとどまっている。これは、米国の89.3%、ドイツの71.2%、中国の94.2%に比べて非常に低い水準だ(図00-04)。

 これは、日本企業ではCIO/CDOの役割・重要性が、あまり浸透していないことが原因ではないかと考えられる。基幹システムなどの開発や運用・保守、コスト管理が主な守備範囲とされたCIOの役割は、すでに過去のものとなっている。ITがビジネスを行う上での重要な基盤となった現在、CIO/CDOには、自社のビジネスを深く理解し、テクノロジーを活用して変化する市場に柔軟に対応しながら、競争力を高めていくための戦略的な視点が求められている。

 DXを推進させるためには、そういったビジネス目標とテクノロジー戦略を整合させ、強いリーダーシップにより明確なビジョンを提示し、イノベーションとコラボレーションの文化を育成するCIO/CDOの存在が必要不可欠である。