同じ東大出身者であったとしても、子育て期にあたる30代・40代において特に、男女間の収入格差が明確に発生していることは、日本社会のジェンダーギャップの根深さを物語っています。
東大卒業生の内部で見ると収入のジェンダー格差は明確ですが、それを東大卒業生以外、すなわち日本の大卒者全般の収入水準と比較してみた結果が図表3-6です。

上段の数値は東大卒業生調査から学部卒のみを取り出して月収の平均値を算出したもの、下段の数値は2023年度に厚生労働省が実施した賃金構造基本統計調査から、学歴が「大学卒」である者の月収の平均値を示したものです。
賃金構造基本統計調査は年齢層が5歳刻みになっていますので、東大卒業生調査の4つの世代と年齢層がほぼ対応するように上下に配置しました。
給料が一般の大卒者の2倍でも
東大卒女性は手放しで喜べない
この表によれば、東大卒業生の収入水準は、日本の大卒者全体と比べてかなり高いということがわかります。
もちろん、東大卒業生調査の回答者が高収入者に偏っているおそれがあることにはここでも注意が必要です。あくまで調査回答者に関してではありますが、特に30代・40代の壮年期については、同じ性別どうしで比較すると、東大卒業者が大卒者全般の倍近い収入水準になっている場合もあります(注1)。
また、東大卒女性は大卒男性全般と比較しても収入水準が上回っています。後述するように、こうした東大卒業生の収入には、勤務先企業規模や職種が反映されていると考えられます。
図表3-6の下段からは、日本の大卒者全般の収入におけるジェンダー格差を読み取ることができます。
(注1)関連する研究として、朴澤泰男「大卒男性の年間収入と出身大学の所在地・設置者の関係について――就業地による違いに着目した考察」『NIER Discussion Paper Series』第4号2017年、1~22頁を参照。