
2014年、若年女性の人口減少により“最終的には消滅する可能性がある”とされる「消滅可能性自治体」が全国に896あることが、日本創成会議で発表された。それを受け、多くの自治体が人口増のために「子育て支援」の施策を行うようになったが、そもそも出産可能な若い女性が少ないのだ。地方から大都市へ、若年女性がどんどん流出していくのは何故なのだろうか……。※本稿は、著者名『地方で拓く女性のキャリア 中小企業のリーダーに学ぶ』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。
「女子は事務だけ」の壁…
なぜ若者たちは地方を去るのか?
若い女性がなぜ、地方から流出するのか。東北活性化研究センターが2020年に18歳から29歳の女性2300人を対象に行った調査(編集部注:「人口の社会減と女性の定着に関する意識調査」)に、地方で問題意識をもつ人たちは衝撃を受けた。
地方から転出する理由を聞いたところ、「やりたい仕事、やりがいのある仕事が地方では見つからない」とする人が最も多かったのだ(図表0-1)。

続いて「東京(東京圏)と比べて年収が少ない」とする人が多い。
若者が、収入の少ない地域から多い地域に流出していくことは、かねてより明らかな相関が指摘されていた。しかし若い女性が地方をあとにする最大の理由が「仕事のやりがい」を求めてという点に、地方の自治体や経済界は驚いた。