それは必ずしも「単純な投手成績」によるものではなく、もっとピンポイント的ないくつかの数値に着目したものだったようだ。

大谷翔平はパワータイプだから
メジャーでも活躍できた

 2018年の大谷翔平以降のNPBからMLBに移籍した投手、および2024年に「MLB挑戦」を表明した投手について、特定の数値をクローズアップして見ていく。

 IP/Gは、投球回数÷登板数、大きければ大きいほどイニング数を稼げる投手だと言うことになる。

 BB9は9イニング当たりの与四球、K9は9イニング当たりの奪三振、9を超えればパワーピッチャーといえる。

 K/BBは奪三振数÷与四球数。3を超えれば合格点、3.5で優秀。最速は、移籍直前のシーズンの投球の最速の数値。

 有原、藤浪、上沢は「MLBでは通用しなかった」とみなしMLBでの成績をグレー地にしている。

メジャーで「成功する投手」と「失速する投手」数値を見れば一発でわかる決定的な違い
同書より転載 拡大画像表示

 大谷翔平は制球力は今一つだったが、K9が10を超え、球速も163㎞/h。K/BBは辛うじて合格点だったが、圧倒的なパワーピッチャーだったことで(もちろん二刀流でもあったが)MLBで高く評価された。

 菊池は荒れ球で奪三振も大したことが無かった。MLBに移籍してからも成績は上がらず苦労をしたが、右腕よりも数が少ない左腕だったこともあり、徐々に適応した。

メジャーで活躍できないのは
打たせて取る技巧派の投手

 有原はIP/Gは7に近く、MLBでいう「イニングイーター」ではあったが、MLBではうまくいかなかった。NPBなら「打たせて取ったはずの打球」が打球速度が速いMLBでは安打になることが多かったのだ。

 2024年の上沢も同じタイプ。イニングイーターでK9が低く、球速も平凡だ。上沢が入団前から評価が非常に低かったのは、チームメイトでもあった有原の前例があったからではないか。同じくソフトバンクに復帰したのは皮肉ではあった。