葉書に託したのは
情報ではなく「本気」
石油タンカーの葉書が見つからず、秘書が仕方なく持ってきたラクダの絵葉書に、太郎は真っ赤になって怒鳴りました。「俺たちは遊びに来てるんじゃないんだ」と。しかし、それは、単なる怒りではありませんでした。自らの計画がどれだけ危ういかを理解していたからこその、ギリギリの必死さだったのです。
ただし、太郎はただ怒るだけのリーダーではありませんでした。暑さの中、周囲が昼寝をしている時間に、自ら葉書を綴り、切手を貼り、想いを伝える。水で濡らしたバスタオルの上に切手を並べるという、ユーモアすら感じさせる工夫を凝らしてまで――。
その姿に心を打たれた通訳の林昂は、その瞬間、太郎を信じようと決意しました。そしてこの後、林は何度も太郎やチームのピンチを救う救世主となります。
企業でも政治でも、リーダーの言葉は日々投げかけられています。しかし、人の心を動かすのは、声の大きさではありません。自らの言葉に責任を持ち、汗を流し、愚直に行動し続ける「誠意」こそが、人を突き動かし、やがて大きな支援の輪を生み出していくのです。
太郎が葉書に託したのは、情報ではなく「本気」でした。だからこそ、それを受け取った人々は、動かざるを得なかったのです。
Key Visual by Noriyo Shinoda













