2つめの口腔機能管理とは、う蝕・歯周病による歯の欠損が原因で、物体を噛みしめる顎の力=咬合力が低下したり、加齢によって咬合力・舌圧・唇や舌の運動の巧緻性が低下したりすることを予防することです。
具体的には、義歯装着、歯周病の治療を含む歯科治療や、舌・唇・顎の運動によって予防します。舌・唇・顎の運動については、日常での会話や咀嚼が極めて重要となりますが、舌や唇を動かすエクササイズのような方法を活用して機能を維持するという方法もあります。
したがって、オーラルフレイル期に突入しない、また一度なったとしても、その状態を脱して健康な状態に戻すためには、口腔リテラシーを高めて口腔清掃を励行し、う蝕や歯周病の発生を抑えて歯の欠損を防止するとともに、欠損が生じた場合には適切な義歯を装着することが大切です。
また、良好になった口腔で友達とのお喋りなどをして、かたい物でもどんどん食べ、栄養バランスを確保することが重要です。
残った歯は20本ある?
「タ」の発音はできている?
これらは、歯科医師から見るとごく当たり前のことですが、より多くの人に知ってもらうために「オーラルフレイル」を意識することは有効と考えられ、ヘルスプロモーションにおいて重要なことばであると認識されています。
オーラルフレイルということばの周知や予防啓発のために、日本歯科医師会は2015年3月13~15日、「健康寿命延伸のための歯科医療・口腔保健 世界会議2015」を開催しました。
ここでは、東京大学高齢社会総合研究機構が中心となり、千葉県柏市で実施されている「柏スタディ」からのインパクトの高い研究も報告されました。
「柏スタディ」とは、東京大学高齢社会総合研究機構が柏市と協働で行っている、地域在住の高齢者のフレイル予防を目的にした大規模調査研究のことです。
このプロジェクトでは、高齢者の健康状態、身体の構造と運動機能、社会参加、心理および認知機能などのデータを経年的に取得し解析しています。