アメリカの財務省は、「ビットコインは分散型金融における価値の保存に使われるもので、デジタルゴールドのようだ」との見解を報告しています。FRBのパウエル議長も「ビットコインの競合は金」と述べているように、金に近しいものであるという視点はビットコインの価値の理解において重要です。
そもそも資産というのは経済的な価値があるものの総称です。その中で、とりわけ金の価値が高いのはなぜでしょうか。
様々な要因があるので、ここではザックリとした説明にとどめますが、まず埋蔵量が決まっていて希少価値があるからです。それから、アクセサリーや電子機器、はたまた投資と用途が多彩であること。そして誰もが売買しやすく換金性が高いこと。紀元前からの歴史があること。企業の業績や地政学的リスクに価格が左右されにくいこと、などが挙げられます。
加えていうなら、金という実物がちゃんと現実にある、ということも信用に足る理由でしょう。
金も最初からいまほどの値が付いていたわけではありません。1995年から2024年の30年間だけを切り取っても、1グラム約1200円から約1万2000円へと、実に10倍もの値上がりをしています。この間に様々な経済不安や金融危機が起きるたび、安全資産としての金の価値が高まってきたのです。
その金と同じ役割を、デジタル資産であるビットコインが担おうとしている、まさに分水嶺(ぶんすいれい)がいまです。
キャッシュレス社会の到来で
現物資産の幻想が崩れ始めた
ここで、装飾品や電子機器などに利用できる金と、ほとんど実際的な利用方法のないビットコインでは価値が違う、と考える人もいると思います。たしかに、ビットコインは決済手段としての機能はほぼ果たしていません。
しかし金も産業利用されるのはごく一部であって、価値の大部分は安全資産の面にあります。個人で金塊を持っていても何の役にも立たないのに保有しているのは、安全資産だからです。