同じように、ビットコインが安全資産だという認識が広がれば、国や機関投資家が大量にポートフォリオに組み込み、簡単には売却しなくなるでしょう。そうなれば金に比肩するほどの価値になり、ある程度は値動きも安定するはずです。だからいまアメリカが大号令をかけている意味は極めて大きいのです。

 ビットコインは、人間がプログラムしたデータですから、金塊を手にするような安心感はないかもしれません。ですがブロックチェーンという仕組みの発明によって、そのデータが唯一無二で間違いのないものだと証明できるようになっているため、現金や現物に劣らないとする見方もあります。

 考えてみれば、私たちも現金をそのまま金庫に入れていることはほぼなく、大部分は銀行などに預けています。株や外貨への投資もスマートフォンひとつでできるようになりました。

 日常生活でも電子マネーの利用が当たり前になり、キャッシュレス化はどんどん進んでいます。日本円の現物を持ち歩かず、貯蓄も円だけでなくドル建ての投資信託などに変えている人が増えてきました。

 NFT(編集部注/ブロックチェーン技術をもとに作られた、世界に1つしかないデジタルデータ)という形でアートや権利をデジタルの形で所有することもできます。

 電子化の壁も国境も軽々と越えていく世代にとっては、デジタル化されたものの存在感は日増しに強まっており、これから「デジタル資産」の時代になっていくことは自然なことなのです。

書影『デジタル資産とWeb3』『デジタル資産とWeb3』(小田玄紀、アスコム)