D社労士のアドバイスを聞いたB本部長は、翌日甲社長と検討した結果、乙店の店長は本社の正社員が務めることになった。他の店舗も全員がアルバイト店長だったが、彼らを正社員として雇うか、本社の正社員を転勤させた上で改めて職務内容を吟味することにした。

 Aはというと、サブ店長の立場になり、店長手当を5000円に減額。そのかわり休日出勤は基本なくなり、残業した場合は別途残業代を支払うことにした。この変更をAは了承したが……。

本部長に直訴してよかったよ

 7月下旬。AはBと居酒屋にいた。

「ところでAはバイト店長をまだ続けているの?」

「ううん。店長は本社から正社員が来たから元のバイトに戻った。残業代も出るし休みもあるからこっちの方が気楽。バイト休んだ日に労働基準監督署へ行くつもりだったけど、結局疲れすぎて一日中部屋でゴロ寝。でも本部長に宣言しただけでも効果あったよ」

「そうか。もしかしたらバイトを辞めたかもしれないと思って、ウチの会社の総務に声をかけてみたんだ。人手不足で困っているみたいだから……」

「本当?」

「うん。よかったら面接受けてみる?君がOKだったら、明日総務課長に話を通しておくよ」

「ぜひ頼む。実は今回の件でB本部長のことが嫌いになった。もういい加減バイト生活は卒業したいね」

 2人は生ビールのお代わりを頼み、改めて乾杯した。

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