<管理監督者として認められた場合の処遇>
(1)所定労働時間外及び法定休日の労働に対して残業代や休日出勤手当の支払いが発生しない。ただし午後10時から午前5時までの深夜労働に対する割増賃金の支払いは必要。

(2)労働時間や残業時間に上限を設けなくてもよい。(つまり36協定で締結した時間外労働時間以上働いてもよい)ただし、長時間労働が原因で身体・精神の健康を損ね労災認定をされた場合、企業の責任が問われるのでその意味で労働時間の把握や管理は必要。

(3)1日あたり6時間以上労働した場合でも休憩時間を設ける必要がない。

(4)週1日もしくは4週4休の法定休日の適用から除外される。

 D社労士の説明を聞いたB本部長は得意気に、

「A君は管理職だから、残業代も休憩も必要ないし、週1日の休日も絶対じゃない。やっぱり彼の言い分は間違っている。労働基準監督署に相談しても無駄だね」

 と言ったが、D社労士は首を振った。

「その決めつけはまだ早い。会社でいう管理職と労働基準法でいう管理監督者は同じじゃない」

「どういうこと?」

「法律上で管理監督者だと認められないと、残業代の支払いなどが必要ってことだよ」

アルバイト店長は法律上の管理監督者として認められるか?

<労働基準法上の管理監督者認定基準>
(1)労働契約において、あらかじめ労働日や勤務時間が決められ、出退勤記録により労働時間を管理されるのではなく、業務上の都合に合わせて出勤日や勤務時間を自己判断で決められる権限があること。

(2)賃金面などの処遇が、管理監督者の地位にふさわしい内容になっていること。給与において、役職の責務に相応した基本給や役職手当などが支給されていること。

(3)業務内容については、会社からその都度指示を受けたり判断を仰ぎながら行うものではなく、少なくとも自分の職場の範囲内では自己の権限、裁量で行えること。

〇企業の管理職が管理監督者として認められるか否かは、上記の(1)から(3)について総合的に勘案して決定される。