【サボりは正義】ずば抜けて仕事ができる人の「すごい習慣」とは?
働きながら3年で、9つの資格に独学合格! 大量に覚えて、絶対忘れないノウハウとは?
「忘れる前に思い出す」最強のしくみ、「大量記憶表」を公開!
本連載の著者は棚田健大郎氏。1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明します。棚田氏の勉強メソッドをまとめた書籍、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、メソッドの一部を公開します。

【サボりは正義】ずば抜けて仕事ができる人の「すごい習慣」とは?Photo: Adobe Stock

ずば抜けて仕事ができる人の「すごい習慣」とは?

 本日は、人生が好転する最強の習慣についてお話しします。

 これは、私が不動産業に勤めていた頃、特に賃貸営業マンとして働いていた時代の話です。この話をしようと思ったのは、「勉強する時間がない」「仕事が忙しすぎて体力的にきつい」といった相談が多く寄せられているからです。そんな声に触れるたび、当時の自分がどうやってあの過酷な日々を乗り切っていたのか、思い返す機会が増えてきたんですよね。

 私が営業マンだった頃、とにかく忙しかったです。東京の高田馬場にある店舗で働いていたんですが、主な顧客はその隣駅にある早稲田大学の学生さんたち。周辺には専門学校も多くて、若い方の部屋探しで連日ごった返していました。お店の中にはカウンターがあって、理屈では座って接客することになっていたんですが、実際はほとんど立ちっぱなし。物件探して、説明して、また探して、そんなことを繰り返しているうちに、座る暇なんて全くなかったんです。

 忙しさがピークの時なんか、店の外に行列ができることもありました。不動産屋に行列って、今ではあまり見かけないかもしれませんが、当時は本当にすごかった。お客さんがずらっと並んでいて、こっちが引くくらいの光景でした。そんな環境なので、当然お昼を食べる時間もろくになくて、休憩らしい休憩なんて夢のまた夢。だけど、人間ってそれじゃ持たないんですよ。だから私は、“サボる”ことを覚えたんです。

自分で自分をリフレッシュさせる

「サボる」って聞くとネガティブな響きに感じるかもしれません。でも、実は契約をきちんと取っている営業マンって、サボり方がうまいんですよ。要するに、どこかでガス抜きをしている。与えられた休憩時間や定休日だけでは疲れが取れないから、自分で自分をリフレッシュさせる時間を作る。それが大事なんです。

 私がどうやってそれをやっていたか。お店の中ではとにかく休めません。だから、お客さんの物件案内に出るときがチャンスだったんです。ある日、珍しくフランス人の男性お二人が部屋探しに来られました。国立の研究機関に勤めている研究員の方で、2LDKのお部屋を探しているということで、車で1時間ほどかけていくつか物件を案内しました。ちなみに、私は当時フランス語検定3級を持っていたので、ちょっとだけ対応できたんですよ。

 その案内が終わったのがちょうど午前中のうちだったんですが、物件も無事に決まり、「ここにします」と。その後の手続きもあるわけですが、すぐお店に戻ると次のお客さんをまた担当させられるのが目に見えていました。当時の私は契約をたくさん取っていたので、お店側としてもどんどん働かせたい。でも、もう疲れてたんですよ。

 だから、私は案内の車内でこう言ったんです。「お腹、空いてませんか?」って。お客さんは「まぁ、そう言われれば…」という感じだったので、「じゃあこのあと手続きに時間かかるんで、先にご飯行きましょう」と提案しました。そしてそのまま、近くのファミレスに車で乗りつけて、3人でランチを食べました。もちろん私がおごりましたよ。

 仲良くなったわけでもないし、会話もフランス語と片言の英語と日本語で気まずさも多少ありました。でも、私はこの時間をとにかく「休憩」に使いたかった。だから店に戻るのを引き延ばすために、ランチという名のサボりをしたんです。終わったのはだいたい15時ごろ。お店には「お客さんがお腹空いたっていうんで、ご飯食べてから戻ります」とだけ伝えました。お客さんの都合を理由にすれば、誰も何も言えませんからね。

「戦略的なサボり」とは?

 こうやって時間を捻出していたわけですが、これは案内以外でも応用できます。たとえば「管理物件を取りに行く」という営業活動があるんですが、これがなかなか大変で。物件のオーナーさんに「うちで管理させてください」とお願いしに行くんですね。これも何度も訪問して、ようやく「任せてもいいかな」って言ってもらえることがある。で、普通ならその場で「管理任せてもらえることになりました!」と報告するじゃないですか。でも私はそうしません。

 私はこう報告します。「さっき訪問して、ちょっと興味を持ってくれてました。もう少し詰めれば、いけそうな雰囲気です。来週またアポ取って詳しく説明に行く予定です」と。これで一日分のスケジュールが確保されるんですよ。もう管理が決まっているにもかかわらず、決まる前提で再訪問のアポがある体で店を出る。で、車に乗って、その日は大きなファミレスの駐車場に止めて、ちょっと寝たりするわけです。これが私のやっていた“戦略的なサボり”です。

 こういうことを言うと、「それってズルくない?」と思う方もいるかもしれません。でも、これは“結果を出している”という前提があるからこそできることなんです。ちゃんと契約を取り、数字を出しているからこそ、適度にガス抜きすることが許される。むしろ、そうしなければ心と体が持たないんです。報告を細かく刻むのも、会社での評価を落とさずに休憩時間を作るための工夫。これは、ある程度仕事が回せている人なら共感してもらえる話だと思います。

 もちろん、こうしたやり方が万人に通用するとは限りませんし、やり方を誤るとカウンターパンチを食らうこともあります。でも、会社はあなたの心のケアまではしてくれません。だからこそ、自分で自分を休ませる仕組みを作るしかないんです。報告の仕方ひとつで、状況は変えられる。小さな工夫の積み重ねが、持続可能な働き方や勉強時間の確保につながっていくと、私は思います。

 というわけで今日は、仕事が忙しくて勉強の時間が取れないという方に向けて、私がどうやって“サボっていたか”という話を堂々とお伝えしました。もちろん今の時代は、私が働いていた頃のような激務は少なくなってきているかもしれませんが、それでも「忙しくて勉強時間が取れない」という悩みは尽きないはずです。今回の話が少しでも参考になれば嬉しいです。

(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の著者の寄稿です)