自分なりの線を引くために
今の自分を把握しておこう

 転職や異動、結婚や出産などのライフイベントによっても、自分の引く線は変わってきます。

「プライベート優先」なんて言っていた人が、転職して好きな仕事につけたら、「仕事が大事で趣味の誘いを断る」という状態になることも当然ありえます。

 結婚して家族ができたら、無駄な仕事や職場の飲み会を断って、家族と過ごす時間やエネルギーを確保したいとなる人も多いでしょう。

 年をとって疲れがとれないようになってきたら、「もう少し仕事上の飲み会は減らそう」と思って、重要でないものを断ったり、二次会にはなるべく行かないようにしたりする人もいます。

「自分」、もっというと、「今の自分」の線引きでいいのです。

 その時その時の自分の気持ちやコンディション、まわりの環境、人間関係の中で「線引き」を考えていけばいい。

 ただ、その「今の自分の線引き」ができるようになるために、とても重要なことがあります。

 それは、「今の自分のキャパシティ」「今の自分の価値観」を把握する力です。

「今の自分の体力や時間的余裕で、これはできることか」

「今の自分の価値観で、これは優先順位の高いことだろうか」

 と自分に問いかけて、自分を知る力です。

「自分を知る」からこそ、「自分なりの線が引ける」のです。

 自分を知って、「自分なりの線引きができるコツ」をつかんでいきましょう。

仕事の負担の線引きは
話し合いですり合わせ

 自分を知り、「自分はどうしたいか」を伝えることができたら、次に大切なのは「すり合わせる」ことです。

 たとえば、同僚は「子育て中だから、なるべく残業したくない」と思っていても、自分は「趣味にさく時間や恋人との時間が欲しいから、いつもいつも残業を引き受けることはできない」だとします。

 でも、職場全体の仕事量は減るわけでもありません。

 お互いの希望を通していたら、仕事が終わりません。

 どうしたらいいでしょう?

 バウンダリー(編集部注/自分と他者の間にある境界線)は基本的には「話し合い」で築いていくものです。

 お互いの線が完璧に一致することはまずありません。

 だからこそ、絶対にゆずれない部分だけははっきりさせたうえで、他を引いたりゆずったりしながら、落としどころを探ることが大切なのです。