子どもも同じで、好きなことをはじめた当初はうまくいかないかもしれませんが、そこですぐに「向いていない」「下手だからやめたほうがいい」と親が決めつけてはいけません。量をこなすうちに、いいものが生まれてくるのです。
頭ごなしに叱る前に
「なぜ?」を一緒に考える
失敗から学ぶためには、失敗をただ失敗で終わらせるのではなく、その経験を次に活かせるようなフィードバックを得ることが大事です。
小さな子どもが自分でフィードバックを得ることは難しいため、親が支援する必要があります。
ただし、「なんでそんなことしたの?」「失敗しちゃダメでしょ!」などと感情的に非難するのではなく、「どうしてこうなっちゃったんだろうね?」と問いかけ、自分で考える機会を与えましょう。
危険なことや人に危害を及ぼすようなことは別ですが、そうでなければ子どもの成長をうながすチャンスです。失敗した原因がわからなくても、「こうしてみたらどうなったかな?」「こういうやり方もあるよね?」と一緒に考えることで、分析力が育ちます。
東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏が提唱した「失敗学」では、失敗の原因を科学的に分析し、同じ失敗を繰り返さないための学問が体系化されています。失敗学では次の3つの目的が重視されています。
2 失敗をポジティブに活用する――失敗を責めるのではなく、そこから学び、より良い成果につなげる。
3 個人・組織の学習を促進する――失敗を活かす仕組みをつくる。
子育てに置き換えると、知識不足による「無知」、計画自体に無理がある「企画不良」、親と子の価値観が共有できていない「価値観不良」などが、よくある失敗の原因です。
失敗をどうとらえるかで
成長に大きな差が生まれる
経営者やリーダーに読み継がれている『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎、中央公論新社)という本では、日本人は感情に流されやすく、決めつけや思い込みによって間違った判断をしてしまうことが指摘されています。
過去の成功体験に縛られ、変化に柔軟に対応できないという日本人の特性は、親子関係にも通じることがあります。