高学歴 vs. 資格――「変化への対応力」が勝敗を分ける

高学歴で大手企業に就職した場合、初任給や福利厚生、キャリアの見通しなど、スタート地点のアドバンテージは大きいです。一方、食いっぱぐれにくい資格を持つ人は、経済情勢に左右されにくく、転職市場での即戦力性が強みです。

しかし、どちらの道も「絶対安泰」ではありません。AIや産業構造の変化によって、大手企業もリストラや早期退職の波にさらされますし、資格職もロボットや新技術で一部の仕事が代替される可能性があります。

だからこそ、ダーウィンの言葉にあるように、

「最も生き残るのは、強い者でも賢い者でもなく、変化できる者である」

という視点が重要です。

資格を持ちながらもキャリアチェンジできる人、大手企業出身でもスキルを横展開できる人ーこの「変化を受け入れる力」こそ、学歴や資格を超える最強スキルです。

資格の檻に閉じ込められるリスク

最後に注意したいのは、「せっかく取った資格だから」という理由で、自分に合わない仕事を続けてしまう“サンクコスト効果”です。

サンクコスト効果とは、すでに支払ってしまったお金や時間などの「回収不可能なコスト(=サンクコスト)」に引っ張られて、本来やめたほうがいい判断を継続してしまう心理的バイアスのことを指します。

僕の知り合いに、看護師の専門学校に通って看護師の資格を取った人がいます。彼女は専門学校時代、毎日毎日大変な実習に打ち込んで、やっとの思いで看護師資格を取ることができました。

ですが心の内ではこんなことを思っていたんですよね。

「…私には看護師の仕事が向いていないかもしれない。」

しかし、看護師になるための専門学校の費用、時間、それらはあまりにも莫大です。だからこそ、合わないと分かっていても看護師として仕事を続けました。

その結果、心身ともに疲労して限界を迎えたとき、僕に相談してくれたときに「1度看護師資格のことは完全に無視してやりたいことをやってみれば」と伝えました。

結果、給料は3分の2以下になったのですが、カフェ店員として今は楽しく仕事しています。

もちろんこの選択が正解かは本人の価値観によります。ですが、サンクコスト効果を乗り越えて「選択肢を持つこと」は大切だと思うんですよね。

食いっぱぐれない資格を取得するためには、膨大な時間と労力がかかります。だからこそ、元を取らないとと必死になります。

4000円の焼肉食べ放題に行ったとき、これ以上食べたら気持ち悪くなるのに無理して食べようとした経験が、誰にでもありますよね。

焼肉食べ放題ですらそうなのですから、保有する資格となれば想像を絶するものがあると思います。

しかし、そんなサンクコスト効果という名の「資格の檻」だけにとらわれず、ゼロベースで生き方を考えてみることも、時には大切だと思います。

これもまさに変化を受け入れる力。

この記事を通して、食いっぱぐれにくい資格だけでなく、それ以上に大切な変化する力について考える機会になれば嬉しいです。

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです