危険な暑さで病気でケガのリスク
公的健康保険への影響も

3 熱中症をはじめとする医療コストの上昇

 熱中症が多発していることは言うまでもないが、危険な暑さは健康リスク全体を引き上げそうだ。熱帯夜でよく眠れずに疲れがたまり免疫力が低下したり、暑さで集中力を欠いたりして、他の病気やケガにつながることも考えられる。病院のお世話になることが増えれば医療費もさらにかかることになる。

 なお、消防庁の資料によれば、昨年度に緊急搬送された約6割が65歳以上だった。日本は今後も急激に高齢化が進むことになるので、医療従事者側の負担も増えるのではないか。社会全体の医療コストが増えれば、われわれが払う公的健康保険に悪影響を及ぼす可能性もある。

 健康保険制度といえば、負担できる人にはもっと負担してほしいと、国が高額療養費制度の見直しを打ち出したのは記憶に新しいところ。8月から自己負担額の引き上げが決定していたが、進め方が拙速だと批判を浴びて、いったん凍結された。

 しかし、大きな方向性は自己負担増に向かうだろう。ただでさえ医療保険財政は厳しくなる一方なのに、毎年の酷暑でより医療費がかかるようなことになれば、保険料の一段の引き上げもやむなし……となってしまわないだろうか。

4 火災保険料がじわじわ引き上げへ

 毎年、記録的な豪雨等による大規模な水害が発生している。国際的な研究でも甚大な被害を及ぼす巨大台風の増加や台風の接近頻度と地球温暖化には、相関関係があるのではと示唆されているそうだ。

 この自然災害の影響で、住宅にかける火災保険の保険料が値上げされている。保険会社が支払う保険金がどんどん増加しているためだ。各損害保険会社は2024年10月に一律で引き上げを行い、加えて水災補償を細分化、水害にあうリスクが高い地域ほど保険料が高くなる仕組みを導入した。

 今後も温暖化が進み、異常気象が当たり前になればなるほど、住宅にかける保険料も上がっていくと考えられる。現在のところ火災保険の保険期間は最長5年までだが、今後の災害状況によっては更新時期がさらに短くなるかもしれない。