ダイヤモンド社の主張が認められなかった
「二人の経営幹部の退任理由」

 2本の記事では18名以上の経営幹部が退任したことに触れているが、そのうち、三菱商事出身の幹部と日産自動車出身の幹部の退任理由に関する主張が認められなかった。

 三菱商事出身幹部の退職理由は「永守氏の発言に反感を持ち辞表を提出したとの事実が真実であったとは認めるに足りない(判決より抜粋)」とされた。日産自動車出身幹部についても、「永守氏から減俸処分を受けたとの事実が真実であったとは認められず、またこれを真実と信じるに足りる相当な理由があったとも認められない(判決より抜粋)」とされた。

 その結果、「二人の退職理由について、ダイヤモンド社が永守氏の人事または発言が原因であるとの事実を指摘することによって、永守氏の経営能力に疑義を呈し、その結果、永守氏に精神的苦痛を生じさせたものであったものと言える。永守氏が被った精神的苦痛に対する慰謝料の額は50万円と認めるのが相当である(判決より抜粋)」と結論付けられた。

 上記二人に関しては取材に自信を持っていたため遺憾ではあるが、今後も取材を続けていく所存だ。

 また、ダイヤモンド社は真実を明らかにするためには永守氏本人の証人尋問が不可欠であるとの立場から、永守氏の出廷を求めていたが、永守氏が出廷を見送り実現には至らなかった。

 永守氏は昨年10月28日に裁判所に提出した「上申書」で、出廷しない理由について語っている。