永守氏が提出した上申書の中身
「多忙と高齢」「マスコミの二次的被害」

 永守氏は尋問に出頭しない理由について、「上申書」で大まかには三つの点を挙げた。

1、経営者として大変多忙であり、当事者尋問のために東京地裁に出廷し、相当時間を要する尋問に応じることは困難である。

2、原告代理人が被告らの尋問事項について確認したところ、「永守氏は「2年以上前のことであり、全く記憶がない」と回答した。多忙な予定を調整して全く記憶にないことを「記憶にない」と証言するためだけに、東京に出向いて出廷することについては、80歳と高齢であることもあって大きな負担感を感じており、その必要性に疑問を呈している。

3、被告らの尋問事項は、ニデックの役員人事という、企業にとって最も秘匿性が高い事項に関する内容であり、かつ、本件記事を含む特集の内容として複数回取り上げられているニュースバリューのある事項である。被告らのみならず、多くのマスコミが傍聴し、その証言内容を取り上げて様々な記事を書く可能性は極めて高い。原告らは、本訴訟で名誉回復を求めているにもかかわらず、永守氏が証言することによってかえってマスコミにさらされて名誉毀損的な記事を書かれ、重ねて社会的信用を貶められるという、深刻な二次的被害を受けることになる。

 以上が訴訟の説明となる。ダイヤモンド編集部は、今後も忖度することなく企業・産業の最深部に迫る取材を継続する方針だ。