そうした中、台湾の鴻海精密工業が追浜工場で電気自動車(EV)を生産したがっているという報道もあります。もしかしたら日産&鴻海のEV生産を前提に、専用埠頭を継続する発表をしたのかもしれません。

 さらに、鴻海だけでなく他の海外企業も追浜工場での車両生産を望んでいるという話も出ています。海外メーカーであっても、追浜で製造すればそれは「日本製」となります。世界に通用する「メイド・イン・ジャパン」というブランドを欲しがっているのです。

【日産リストラ】追浜に専用埠頭を残してどうするの?外資が狙う「メイド・イン・ジャパン」Photo:PIXTA

企業城下町の栄枯盛衰は世の習い…
追浜はタワマン再開発で変貌か

 最後に、村山と同様に、追浜の企業城下町の側面を見てみましょう。追浜工場の最寄り駅は京浜急行電鉄の追浜駅で、駅から工場までは徒歩20分ほど夏島貝塚通りという道路を進みます。この通りの両脇はアーケードの商店街が続くのですが、駅から離れるほどシャッターを閉めた店舗が目立ちます。すでに活気を失いつつある街で、大きな工場が閉鎖される事態は、かなり厳しい状況になることが予想されます。

 一方、駅前は三菱地所などによる高層マンション建設などの再開発が進行中で、「働きに来る街」から「住む街」へ変わりそうです。東京の大崎や神奈川の武蔵小杉も、タワマンが建つ前は工場地帯でした。追浜も同じような変貌を遂げるのでしょうか? 答えは10年後くらいには判明しているはずです。