部下と組織を守るために必要な「先を読む力」
リーダーは、現在の業績や数字だけを見て判断するのではなく、その先に起こりうる事態を想定し、早めに手を打つ必要があります。
業績が悪化してから慌てて対策を講じても、往々にして手遅れになりがちです。市場の変化や顧客ニーズの変動をいち早く察知し、「今の延長線上に未来はない」と感じたら、勇気をもって方向転換を図らなければなりません。
短期的には不満や反発が起こるかもしれませんが、将来の危機を回避できれば、最終的に組織と部下の生活を守ることになります。
変化への抵抗を乗り越えるために
事業の見直しを行う際、最大の障壁となるのは「変化への抵抗」です。人は現状維持を好む傾向があり、慣れた仕事や環境から離れることに不安を抱きます。
ここで大切なのは、単に「やるべきだ」と押し切るのではなく、なぜ変える必要があるのか、そして変わった先にどんな未来があるのかを、具体的かつ丁寧に伝えることです。
リーダーはビジョンを示し、そのビジョンに部下が自分の将来像を重ねられるように導く必要があります。これにより、抵抗は徐々に理解と協力へと変わっていきます。
切り捨てではなく「活かす」視点
事業の見直しは、ともすると人員削減や部門廃止など、ネガティブな印象を与えがちです。しかし、リーダーが意識すべきは「切り捨て」ではなく「活かす」発想です。
縮小する部門で働く人材の強みを見極め、新規事業や成長分野で活かせる場を設けることで、本人にとっても組織にとってもプラスになります。
歴史を振り返れば、大久保利通が士族の特権を廃止する一方で、彼らが新しい時代に活躍できる産業を育てたように、リーダーは転機を「再スタートの機会」として提供する役割を担います。
信頼を積み上げる日常の姿勢
いざ大きな改革を行うとき、部下がついてくるかどうかは、それまでの日常の積み重ねに左右されます。
普段から誠実に向き合い、約束を守り、困ったときには支えてきたリーダーには、多少の不安があっても部下はついてきます。
逆に、日頃から信頼を築けていないリーダーは、大事な局面で孤立しがちです。つまり、危機対応力は日常の信頼構築力の延長線上にあるのです。
未来を描けるリーダーが生き残る
変化の激しい時代において、リーダーの評価は「いまを維持できるか」ではなく、「未来を創れるか」で決まります。
未来を見据えた事業の見直しと、それに伴う人材の再配置は、組織を存続させ、部下の生活を守るための最も現実的な方法です。
そして、その過程でリーダーが示すべきは、確信をもって対立し、覚悟をもって守る姿勢です。この姿勢こそが、組織全体に安心感を与え、変化の荒波を乗り越える推進力となります。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。