まず不満を感じた立場の利用者としてポケモンカードファンがいるはずです。マクドナルドでしか買えないポケカが売り切れで買えなかった。結局メルカリで高額で買わなければいけなくなった。だから不満だという消費者です。

 転売で駆り出されたひとたちも不満でしょう。朝お店に行ってさっさと50個持ち帰る予定が何時間待っても用意されない。そのうちポケカはもらえないとまで言われる。結局元締からは叱責(しっせき)され報酬も削られて、だから不満だというひとたちがいたはずです。

 さらに意識高い系の第三者も不満でしょう。あれだけフードロスは地球環境によくないと言い続けているのに、また大量の食品が廃棄されたと大きな不満を感じたはずです。

 そしてよくよく考えてみると、この3つの不満を持つ層は実はマクドナルドのコアな顧客層ではありません。マクドナルドがターゲットとしている顧客層と、今回の騒動でマクドナルドに不満を感じた顧客層には、微妙なミスマッチが生じています。ですからこの3つの不満はマクドナルドにとってノーダメージです。

 もちろん、マクドナルドのコアな顧客層の中にも今回の騒動で被害を感じた人はいます。ひとつは8月8日の朝、マクドナルドで朝食をとろうとした人。このひとたちは騒動のせいで結局、セブンイレブンでパンとコーヒーとから揚げを買って帰ることになったかもしれません。でも被害は軽微です。マクドナルドで朝食を食べる日を別の日に振り替えればいいだけですから。

 では8月8日の朝、子どもにせがまれてお店に出かけたお父さん、お母さんはどうでしょうか?朝出かけて結局ハッピーセットは買えず、子どもをがっかりさせてしまった。徒労と不満を感じたはずです。

 ではそういった親たちはこのことで「もうマクドナルドには行かない」と思うでしょうか?そんなことは起きません。なぜなら子どもに頼まれたらまた行動するのが親というものです。