視点1:なぜ転売が起きたのか?
最初に「転売は悪い」と決めつける前に、なぜ転売が起きるのかを整理しましょう。経済学的には転売が起きる理由は明確です。価値のある商品が需給バランスよりも極端に安く販売されるからです。
今回のようなハッピーセット以外にもメルカリで転売される典型的な商品にはパターンが存在します。イベントで配布される人気キャラのグッズ、ユニクロが数量限定で販売するコラボ商品、スイッチ2など人気で品薄なゲーム機本体などが典型パターンです。
たとえば普通に買えば一着4万円もするブランドがコラボ商品なら3990円で買えるような場合は店頭ですぐに売り切れてしまうのは当然で、フリマサイトで高額の転売が起きやすくなります。発売直後のゲーム機は別に安売りしているわけではありませんが需要が極端に多いのでやはり需給バランスが崩れて高額の転売が起きやすくなります。
これは「転売が悪い」という解釈とは別に「高額でも欲しいという消費者がいる」ことを示しています。
どんなに禁止を呼びかけても需要がある限り取引が行われるのがブラックマーケットの本質です。極端に需給が悪い状況を作ってしまったケースでは、法律で禁止するか、スイッチのように技術的に転売ヤーから買うと動作しないようにする以外に転売を止めることはできません。
ですからハッピーセットの場合は、明らかにお得なセットを販売すると決めた瞬間に、経済的には転売規制は意味をなさなくなるのです。
視点2:ハッピーセットがお得な理由
さて、そのメカニズムを前提に考えると、ハッピーセットの転売対策の一番いいやり方は経済学的には価格操作です。たとえばポケモンカードとおもちゃが入ったハッピーセットは2990円で販売したら?当然のことながら需要が激減して需給バランスが改善されます。需給バランスが改善すれば転売のうまみもなくなりますから転売ヤーも激減します。
しかしそうはなりません。現実のハッピーセットは税込みで510円から買うことができます。