標識に従うことは(当たり前だが)必要だ。けれど、標識に集中し過ぎて視野狭窄になったら逆に危ない。標識を守るのはもちろんのこと、視覚と聴覚をフルに使っていくこと。ケースバイケースで標識を「疑う勇気」が自転車の車道走行には求められる。
個人的に気になっているのが、日本の道路は「一時停止」の文字が薄くなった箇所があまりにも多いことだ。視覚的に「危ない」ことを判断しやすくするためにも、適宜塗り直してほしいのが本音だが……。予算は限られているわけで、責任をハード面の不備に押し付けるのも何かが違う気がする。
私たち国民にできることは、これまで以上に安全運転を心がけること。つまりハード面ではなくソフト面で対応していくことが、この国の現実的な最適解になるのではないか。
溝、段差、マンホール…
車道走行に潜むこれだけのリスク
現場に精通した配達員ならではの「自転車の車道走行のポイント」についても述べておきたい。
車道走行する際は自分のためにも相手(車のドライバー)のためにも、無理のない範囲で左側に寄って走行することが好ましいが、実は車道の左側には「溝」や「段差」があることも多い。車やバイクと違って自転車のタイヤは細いので、溝や段差に弱い。走行中にバランスを崩されないよう、目視で溝や段差を回避しつつ、自分の中で「この道を走るときは要注意だな」といった記憶を残してほしい。
特に雨の日はタイヤが滑るため、こういった溝や段差に影響を受けやすくなる。また雨の日は、早く目的地に到着したい気持ちから、走行を急いでしまう心理も生まれやすい。しかし雨に日はブレーキの利きが悪くなり、レインコートを着用すれば視界も悪くなる。
雨天では、マンホールの蓋も滑りやすくなるので、注意が必要だ。濡れたマンホールの上でハンドルを切ったり、ブレーキをかけたりすると、スリップの原因になることもある。筆者は雨の日のウーバー中、前方にあった障害物(ペットボトル)を避けるためにハンドルを切った際、マンホールの上でスリップして転倒しかけたことがあった。