ただ、発達障害とひと言でいっても、症状は人それぞれ。そもそも特性はあっても日常生活では困ってないから受診しておらず、診断されていないという人もたくさんいます。

生きづらさ感じているなら
一度受診するのも手

 逆に、普段の生活で困り事がある、生きづらさの原因を知りたいと思うのであれば、一度受診してはっきりさせるという手はあります。違えばそれに越したことはありませんから、疑ったのであれば自己診断をするよりよっぽど有意義です。

 発達障害にも種類がありますが、たとえばADHD(注意欠如多動症)と診断された場合、その障害の特性を知ることでさまざまな対処法を考えていくこともできます。

 今まで自分がADHDだと思わずに生きてきて、「自分はなんでこんなにミスや忘れ物が多いんだろう」と思っていた人が、そういう特性なのだと理解し、玄関に持ち物チェックリストを貼って毎日それを見るようにすることで忘れ物が減ったとか。「何回聞いても忘れちゃう」という人はメモ帳を持ち歩くようにするとか。

 他人に自身の特性を説明し、指示は口頭ではなく紙で渡してもらうようにする、なんてこともできるようになったりします。

 自身の特性への対処法を知ったり、場合によっては薬を使ったりすることでラクになる人もいます

 自身の努力不足だと思っていたことがそうじゃないとわかることでラクになる人もいますので、自己判断はせず受診してみることはそういった点で有意義であったりします。

自分が望む薬を出してくれるのが
いい病院とは限らない

 精神科にかかってみたけれど自分に合わない。だから病院を変えよう。そうやって病院を転々とする方も少なくありません。

 そもそも、本人の言う「合う」が、本人にとって「いい」とは限りません。

 本人としては、自分を否定せず「うんうん、そうだね」と話を聞いてくれて、自分の望む薬を出してくれるのが「自分に合う」医師だと思うし、医師側だって「じゃあキミの望む薬を出してあげよう」と言うほうがラクなわけですが、それは治療として間違っていることも少なくありません。

 だから本人が「合わない」と言う病院や医師が必ずしも悪いとは限らないということです。