コネ入社は入社後のミスマッチが生じやすい
「コネで入社できる人は羨ましい…!」
僕は正直そう思います。
でも、コネで入社することには大きなデメリットが2つあるのです。
まず1つ目は、適性が測れないこと。
そもそも選考は、エントリーシートや面接を通して「この会社に合う人材かどうか」を測るために実施されます。
例えば、僕は香料メーカーの営業を受けたことがあり、二次面接まで進んだのですが、人事部長にこう言われました。
「うちの会社は藤井くんの発想力を活かす場所が少ない。与えられたことを淡々とこなす人が合う会社なんです」と。
そして不採用になったのですが、むしろ入社しなくて良かったと思いました。僕は与えられたことを淡々とこなすのが好きではありません。よって、仮に入社しても合わなかったでしょう。
このように、選考を通して合う合わないを測ることができるのは、就活生側にとってもメリットになります。コネ入社の場合、選考をせずに入社することになるので、この適性判断ができません。
よって入社後のミスマッチに繋がり、かつ「コネで入社したから辞めにくい」という状況になってしまうのです。
転職に役立つ知識や経験を積めなくなる
次に、コネ入社のデメリットが、就活を通じて本来得られるはずだった知識や経験を積めないことです。就活を通して得られる知識や経験は、将来、転職をするとなったときに役立ちます。
読みやすいエントリーシートの書き方は、そのまま「読みやすい職務経歴書の書き方」に繋がります。転職にもSPI検査はありますし、当然ですが、面接もあるので、就活で慣れておくに越したことはありません。
さらに、就活をしていると「自分はどんな性格なのかな? 強みは? 弱みは?」と考えたり、「自分はどんな仕事が向いてるかな? どんな企業が合うかな?」と自然と自己分析をします。
そうして自己理解をし続けることで、自分にとって何が幸せで、どうすれば幸せを掴めるのか考えられるようになる。一般的な就活をしないと、これらの経験ができないのです。
そして、コネで入社できたは良いものの、入社後のミスマッチで辞めるとなれば、就活経験がほぼないまま転職活動をしなくてはなりません。
これらの観点を持っておくと、「コネ入社はずるい」から「コネ入社はリスクも大きい」に変わりますよね。親や親戚経由のコネがなくても、地方出身だろうと、コネ入社に頼るべきではない理由がここにあります。
就活で得られること
コネ入社が羨ましいと感じるのは、就活で得られるものは「内定」だけだと考えているからです。
オリンピック選手が金メダルを手にしたとき、金メダルという「物質」だけでなく、それまでの練習で得た様々な能力や経験、自信、人脈も同時に手にしているのです。
就活生も同じです。
就活に全力を注いで得られるものは、内定だけではありません。
途中でも紹介した転職でも役立つ知識や経験、さらには今後の人生でずっと役立つ自己理解です。
僕は拙書『脇役さんの就活攻略書』にて、「強みはこう書きなさい」というテンプレを教えるのではなく、「強みはこうやって見つける」「強みはこのように伝えるとわかりやすい」といった、仕事や転職にも転用できる本質的なことを書くように努めました。
よく大学4年生の夏まで就活を続けている方から相談を受けることがあります。
「この時期まで内定がでない自分はだめでしょうか。」
そのように言われるのですが、僕は「他の就活生よりもたくさんの知識や経験を得て人生の糧になるから、最後まで焦らずに丁寧に自分に合う企業を探そう」と伝えるようにしています。
新卒就活になると、どうしても結果ばかり見てしまいます。もちろん結果も大切ですが、その過程で得られたものは、次の結果を生む力になります。
みなさんは、コネ入社についてどんな意見をお持ちですか?
(本記事は『脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです)