なぜ優秀な人ほど「裸の王様」に陥り、チームを崩壊させてしまうのか?
仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。待望の続編『リーダーは世界史に学べ』(ダイヤモンド社)では、世界史のリーダー35人が、迷える現代のリーダーに【決断力】【洞察力】【育成力】【人間力】【健康力】という5つの力を高めるヒントを伝授する。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。

【経営コンサルが警鐘】「あ、うちの上司だ…」部下を潰す“裸の王様”とチームを動かす優れたリーダーの決定的な違いPhoto: Adobe Stock

なぜチームは前に進めなかったのか?

私がコンサルティングしたプロジェクトでも、主導するリーダーが「自分の考える方針が正しく、その方針を貫きたい」という思いが強すぎて、ほかのメンバーの意見を否定したり、却下したりして、反発を招いたことがありました。

リーダーという地位にあぐらをかいて、部下の意見や批判を受け入れないため、方向性を見失った“裸の王様”のような状態になり、スケジュールは明確なものの、遅々として進まなかったのです。

停滞を打破する「聞く」ための3ステップ

こうした事態に陥ったときには、次のように対処するのがおすすめです。

自分の強い思いはいったん脇に置いて、相手の立場になって考える
 (自分の発言によって相手が感じることを想像する)
相手の立場を想像しつつ、相手の考えや思いに耳を傾ける
③そのうえでリーダーとしてどのような方向に進みたいのかを伝える

「正しさ」を手放したとき、事態は好転する

①②ともに「自分は絶対に正しい」という思いにとらわれると、相手の立場に立ち、傾聴することは難しいです(相手にもそれが伝わります)。

あるプロジェクトでも、リーダーが①~③にとり組むことにより、プロジェクトが徐々に前進するようになりました。

人を巻き込み、成果を生み出す力の源泉

部下の考えや思いに耳を傾けるだけでも「自分を尊重してくれた」という気持ちになり、協力してくれるのです。

いくら能力が高い人でも、自分だけでは成果が出せません。成果を出すには、部下の考えや感情を尊重することで、まわりの人を味方につけて巻き込み、力を借りることが欠かせないのです。