世界には70億人以上の人々がいます。これから日本の人口が減っていく中で、国内だけを見ていては成長に限界があるでしょう。

 しかし、AIの翻訳技術が当たり前になると、日本語だけにとらわれず、世界中の人々と簡単につながることができます。

 それは、言葉の壁を気にせずに誰でも世界で活躍できることを意味しています。

 では、世界を相手にするためには、どのような点を重視すればよいのでしょうか。

書影『60歳からの脳の使い方』(茂木健一郎、扶桑社)『60歳からの脳の使い方』(茂木健一郎、扶桑社)

 仮に何かのコンテンツを作るにしても、特定の文化だけでなく、多くの人が共感できるテーマを選ぶことが重要になるでしょう。音楽や映画、小説など、世界中の人に響くようなテーマで作品をつくれば、国や文化の違いを超えて受け入れられるでしょう。

 たとえば、日本の歌で世界的に有名になった坂本九さんの「上を向いて歩こう(スキヤキ)」は、前向きな気持ちになるという、誰もが共感できるテーマと親しみやすいメロディが評価されました。

 小説家の村上春樹さんや多和田葉子さんの作品も、文化の違いを超えて世界で広く読まれています。

 AIが言葉の壁を取り払うことで、誰しも海外市場や文化交流に簡単に参加できるようになります。これまでの人生で培った経験や知識を世界に発信したり、新しいビジネスに挑戦したりすることも夢ではありません。

 AIで言葉の壁を乗り越えることは、ミドルシニア以降の世代が新たな世界とつながり、自分の可能性をもっと広げるための大きな助けになっていくでしょう。