理由はさまざまだ。仕事に行かなければならない。人間関係がうまくいっていない。なかには、慢性的なうつ病のため、具体的な理由をあげられないまま気分が落ち込み、どんよりと重たい場合もあるだろう。

 原因が何であれ、意図と目的を持って朝を始められないと、メンタルと感情に悪影響を及ぼす可能性があり、これが悪循環になる。どんよりした気分で目を覚まし、ストレスに満ちた思考と感情を反芻しながら1日を過ごし、不安や落ち込みを感じながら眠りにつき、翌日も憂うつなサイクルを繰り返すことになる。

 一方で、意図と目的を持ち、自分を最適化して1日を始められる朝のルーティンがあれば、このサイクルを断ち切ることができる。

 夜は問題に向き合うことへのストレスや不安を感じながら就寝するのではなく、希望とワクワク感を持って眠り、目覚めたら、人生を改善できると実証済みのメソッドで1日を始めることができる。

 朝のルーティンは、人生の課題に対処するための一種の緩衝材だ。

 目覚めてすぐにストレスに圧倒されるのではなく、心も身体も最適な状態で毎日を始めることで、困難な状況に対処し、人生を楽しみ、今よりもっと効果的に目標を達成できるようになるだろう。

コントロールできない睡眠より
食事・運動・習慣を大切にする

 睡眠は精神的・肉体的・感情的な健康を最適化するためのもっとも重要なツールの1つだ。

 睡眠の専門家によると、最高のパフォーマンスを発揮するために必要な睡眠時間には、すべての人に当てはまる普遍的な数字が存在しない。全米睡眠基金のガイドラインでは、健康な成人は一晩に7~9時間の睡眠が必要であるとアドバイスしている。乳幼児とティーンの若者は、成長と発育のためにさらに多くの睡眠が必要だ。また、65歳以上の人も、一晩に7~8時間の睡眠をとることが推奨される。

 最適な睡眠時間は人によって違い、年齢、遺伝、健康状態、運動量、食事、ストレスレベル、夜のルーティンといった変数によって左右される。6~7時間がベストの人もいれば、8~9時間眠るともっとも調子がいいと感じる人もいるだろう。