最も推奨されるのは、あなたが自分にとって最適な1on1の時間帯を明らかにすること、そして仕事に集中する時間を最初に確保することです。

 部下には、あなたが1on1に確保した時間帯の中からスケジュールを選んでもらうことにします。そうすれば、部下たちもフローを体験するタイミングを自分で決めることができます。

 この方法をうまく進めるには、部下に提示する1on1の時間帯をある程度長く設定して、部下も納得して選べるようにすることが重要です。

 そして一度1on1のスケジュールを決めたら、半年から1年間はスケジュールを固定してください。1on1のスケジュール調整に役に立つアプリはたくさんあります。

 例えば、Microsoft Teamsにはスケジュール・アシスタント機能があって、出席者の空き時間を一瞬で把握できるので便利です。

1on1をキャンセルするときに
マネジャーがすべきこと

 最後に1on1のキャンセルについて説明します。キャンセルはやむを得ない場合に限るべきです。1on1は部下への投資です。神聖なものとして扱ってください。

 急な出張やオフィスに行けない場合などでも、移動や会議の合間などの時間に、電話で対応するのがベストです。時間が短縮されても大丈夫です。そんな状況でも1on1を行うことで、部下との対話を大事にしていることが伝えられるからです。

 そのような対応がどうしても取れない場合には、非同期型コミュニケーションの活用を検討してください。非同期型コミュニケーションは1on1をサポートする役割を果たします。

 緊急事態でどうしても1on1をキャンセルせざるを得ないときは、率先してスケジュールを再調整してください。同じ週、あるいは可能な限り早く実施するのが理想的です。

書影『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』(スティーヴン・G・ロゲルバーグ著、本多明生訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 日程調整が上手くいかないときは、1on1の日程は前倒ししたほうが部下との対話を優先していることが伝わります。

 部下が1on1をキャンセルすることはできるのでしょうか?もちろん「イエス」です。

 しかし、部下がキャンセルを繰り返すなら、何らかの問題が発生している可能性があります。マネジャーはキャンセルの本当の理由を知ることが大切です。

 私たちの研究によれば、1on1を減らしたいという部下の願いは、部下の忙しさが問題なのではなく、1on1の質や価値に対する部下の懸念にあることが分かりました。

 つまり、部下はマネジャーが真摯に自分に向き合っていないと感じたときに1on1を減らしたいと思うのです。