会議を入れるのは「午前と午後」どっちがベスト?仕事の効率を最大化するスケジュール管理術【世界的専門家が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

ミーティングが多くて集中力が続かない。やるべきことに手がつかない……。そんな悩みを抱えている人は、ミーティングの時間帯を見直してみよう。世界的な会議改善の専門家が、パフォーマンスを最大化するスケジュールの組み方を教える。※本稿は、スティーヴン・G・ロゲルバーグ著、本多明生訳『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』の一部を抜粋・編集したものです。

フロー状態の中断で
生産性が大幅に低下する

 まず最初に「フロー(flow)」という概念について説明させてください。フローとは、ある作業に没頭し、驚くほどの集中力を感じる精神状態のことです。

 スポーツの世界では「ゾーン」と呼ぶことがあります。

 この概念を唱えた心理学者のミハイ・チクセントミハイは、フローとは「ある活動に没頭して、他のことは重要ではなくなる体験のこと。それは非常に楽しいので、大きな犠牲を払ってもそれを体験しようとすることがある」と説明しました(注1)。

 フロー研究は、当初、クリエイティブな職業で注目されて、質の高い仕事とフロー状態が関連することが明らかにされました(注2)。

 最近の研究によれば、職種によらず、フロー状態は仕事の生産性、満足感、幸福感と関連していることが分かっています(注3)。

 一方、フロー状態の欠如は、ネガティブな状況につながることも明らかとなっています(注4)。

 例えば、フローを得られなかった人は、コントロールの喪失を感じ、無力感を抱くことが報告されています。

 また、フロー状態の中断はストレスの原因になること、生産性が低下し、フラストレーションを増大させるという知見も存在します(注5)。

(注1)Csikszentmihalyi,M.(1975).Beyond boredom and anxiety.San Francisco:Jossey-Bass.(『楽しみの社会学』M・チクセントミハイ(著), 今村浩明(訳),新思索社,2000)

(注2)Csikszentmihalyi,M.(1997).Flow and education.NAMTA Journal,22(2),2-35.

(注3)Ceja, L., & Navarro, J. (2011). Dynamic patterns of flow in the workplace:
Characterizing within-individual variability using a complexity science approach.
Journal of Organizational Behavior, 32(4), 627-651.
 

(注4)Emerson, H. (1998). Flow and occupation: A review of the literature. Canadian
Journal of Occupational Therapy, 65(1), 37-44. 

(注5)Jett, Q. R., & George, J. M. (2003). Work interrupted: A closer look at the role of
interruptions in organizational life. The Academy of Management Review, 28(3),494-507.