しかし、読売新聞が報じたのは朝日、毎日から遅れること18分の12時17分、産経新聞にいたっては1時間遅れの12時57分だ。

 なぜ保守メディアと左派メディアの「逆転」が起きたのか。「単に朝日と毎日の記者が優秀で早く原稿を送ったんじゃない?」と思う人もいるだろう。

 確かにその可能性もゼロではない。だが、個人的には朝日と毎日がここまで露骨に「反省復活」を大袈裟(おおげさ)に煽ったのは、中国やアジア諸国に対して「みなさん、日本政府は“反省”という言葉でお茶を濁そうとしてますよ」と“ご注進”することで国際問題化させて最終的には「反省以上」を求めていくためではないかと考えている。

 それを窺えるのが両紙の社説だ。

 朝日新聞は16日付の社説で「アジア諸国への加害責任には触れておらず、何を反省し、教訓とするのかは明確でない」と石破首相を批判。さらに「首相談話を出すべきだった」という。

 これは毎日新聞も同様だ。というか、「何を反省し、教訓とするのかについては、曖昧に述べただけだ。日本が侵略し植民地支配したアジア諸国への加害責任には触れていない」とまるで示し合わせたかのようなお説教が並んでいる。

 つまり「13年ぶり反省復活」を大きく報じたのは好意的な評価をしているからではない。タチの悪いカスハラ客のようにこの言葉をきっかけに「反省って言うけど、何について反省しているのか具体的に言えよ」とさらに追いつめて、どうにかして「加害責任」まで言及させようというのが朝日・毎日の狙いなのだ。

 実はそんな両紙の煽りをモロに利用している人々がいる。そう、中国共産党だ。

《中国国営通信社・新華社は「日本投降80周年 石破茂重提“反省”戦争却避談加害責任」(日本降伏80周年 石破茂、戦争の「反省」を改めて提起するも加害責任を語らず)と題した記事を配信した》(wedgeオンライン8月19日)

 実は朝日・毎日・中国共産党がこだわる「加害責任」をやめたのは安倍元首相である。2013年、やはり全国戦没者追悼式でこれまでの首相が口にしてきた「加害責任」と「不戦の誓い」に触れなかった。これを問題視したのは左派マスコミ、そして中国共産党である。