
続投を表明している
石破首相
池上 石破茂首相が、参議院議員選挙で議席を減らした責任を問われています。8月8日には自民党の衆参議員が集まる両院議員総会が開かれ、党内からも改めて辞任や総裁選前倒しを求める声が上がりました。
増田 7月28日には、両院議員懇談会も開かれていますよね。
池上 はい。懇談会の方はいわば非公式な意見交換の場である一方、総会は党則に定められた、議決権のある意思決定機関です。石破首相の辞任を求める議員が開催を要望し、署名を集めていました。これに党役員会が応じる形で、開催が決まったのです。
増田 石破首相は一貫して続投を表明しています。
池上 参院選から3日後の7月23日に「読売新聞」が「石破首相 退陣へ」との号外を出し、「毎日新聞」も「石破首相、退陣へ 8月末までに表明」と報じました。にもかかわらず石破首相が辞めないので、「どうやって責任を取るつもりだ」と党内から不満の声が噴き上がったのです。一方で、自民党は比較第1党、つまり過半数は取れていないものの、最も多く議席を有しています。選挙に負けたといっても、第1党の責任はあると石破首相は主張しています。
まんまとトランプ大統領の
術中にはまっている
増田 選挙直後は米国との関税交渉も続いていましたから、これまでの積み重ねが崩れてしまうのを避けたかったのかもしれません。7月22日にはトランプ米大統領が「日米関税交渉が成立した」とSNSで発表しました。これにより、8月1日から発動すると宣言していた日本への25%の関税を15%に引き下げることが決まったとして、自動車に対しては25%の関税と言っていたものが半分の12.5%となり、従来の2.5%と合わせて15%の関税を課すことになったと報じられました。
池上 「交渉成立、よくやった」という声もあるのですが、そもそもが25%という高い関税を吹っ掛けられたものを、15%に下げただけ。まんまとトランプ氏の術中にはまっています。