人の生死に関わる調査の
選択肢がたったの3つでいいのか?

 廃止を訴えている人は9.0%と1割にも満たない数字として出されていますが、この選択肢は「死刑を廃止すべきである」という積極的廃止論者の選択肢となっています。一方で、賛成論者とされている選択肢は「死刑もやむを得ない」という消極的賛成が答えるものになっています。

 一般的に社会調査を行う際に大事なこととして、通常は対照的な質問事項を用いることが多いです。例えば、「満足、やや満足、やや不満、不満」といった選択肢を用いる4件法や、「とても当てはまる、やや当てはまる、どちらとも言えない、やや当てはまらない、とても当てはまらない」といった選択肢を用いる5件法と言われるものです。本調査で言えば、「わからない・一概に言えない」という中立的な選択肢があるために、5件法を用いるのが通常かと考えられます。

 内閣府の質問方法では、8割を超えるという賛成論者のなかに「積極的賛成論者」と、「いつか廃止したい、または一定の条件が整えば廃止したい」、「無くてもいいかと考えるがどちらかと言えば賛成」といった消極的賛成論者においても、「死刑もやむを得ない」という選択肢が選ばれることになります。では、これらの問題に切り込む方法はないでしょうか。

 実は、同じ内閣府の世論調査の中で、「死刑もやむを得ない」と答えた人に対して追加の質問がなされています。例えば、「将来も死刑に賛成か」という質問をしています。こちらの回答では、「将来も死刑を廃止しない」(54.4%)、「わからない」(5.7%)、「状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい」(39.9%)となっているのが分かります。消極的賛成論者の中には将来的には死刑を廃止しても良いと答える人が4割いるということです。