無期懲役は“事実上の終身刑”…法律でもない「通達」で仮釈放の芽を摘む「マル特無期」という裏ルールの正体写真はイメージです Photo:PIXTA

死刑制度をめぐる議論のなかで、「無期懲役はすぐに仮釈放になるから刑が軽すぎる」という意見がある。ならば、無期懲役の受刑者が仮釈放される可能性は、どの程度なのか。データをもとにたどっていくと、想像とは異なる現実が浮かび上がってくる。数字の背後には、語られにくい制度運用の実情が潜んでいた。※本稿は、丸山泰弘『死刑について私たちが知っておくべきこと』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

実はほとんど認められない
仮釈放の運用状況とは

 実際に、どのぐらいの無期刑者が刑事施設にいるのかから見てみます。実は2008年8月に法務省内において「無期刑受刑者の仮釈放に係る勉強会」が設けられ、同年11月に結果がまとめられ、法務大臣に報告書が提出されています。その後、法務省では無期刑受刑者についての仮釈放の運用の透明性と国民に分かりやすい制度となることを目指して、毎年12月に「無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について」というデータを出しています。そこでは前年度までの過去10年間の無期刑に関するデータを見ることができます。表にしていますので、そちらを参考にしながら一緒に考えてみてください。

無期懲役は“事実上の終身刑”…法律でもない「通達」で仮釈放の芽を摘む「マル特無期」という裏ルールの正体同書より転載
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