このところスーパーマーケットやディスカウントストアで焼き芋を販売するケースが多くなってきましたが、これも同様の温度に設定しています。

技術革新と原価の安さで
未経験者でも参入障壁が低い

 そして逆にいえば、こうした店舗で販売することが、世間での認知を高め、個人販売の焼き芋屋にとって追い風となりました。有名なところでは、ディスカウントストアのドン・キホーテがアジアの店舗で焼き芋を販売して集客していますよね。

 技術的にも電気式の焼き芋オーブンが広がり、比較的経験の少ない方々でも販売に参入しやすくなったのです。その電気式のオーブンによって、「ねっとり」とした焼き芋も可能になりました。

 つまり技術進化によって、焼き芋の新たな味わい方が可能になったのです。焼き芋は「ホクホク」から「ねっとり」への食感革命という変化が起きたことで注目を浴び、再評価されました。

 なお、先ほど私は「季節感を活かし、限定感を演出することで、消費者の購買意欲を高めている」と書きましたが、現在では、冷やしてスイーツとしての需要も高まっています。もしかすると、今後は通年で定番の食品となるかもしれませんね。

 前述のように、焼き芋はこのところ好況にあります。その状況で焼き芋屋がいるということをまず理解しておきましょう。

 さらに焼き芋の原材料となるサツマイモは、比較的安価で入手可能です。これにより、原材料コストを低く抑えることができます。具体的には、原材料コストを販売価格の2割に抑えることができています。

 飲食店はFLコストといって、Food=原材料、Labor=労務費が主なコストとしてあり、一般的には60%を占めています。

 それに対して、焼き芋屋がどれだけ優位性を持っているかがわかりますね。もちろん調理は必要です。ただし、調理に必要な機材や燃料も簡便で低コストです。焼き芋の販売価格は高めに設定されており、高い利益率を確保しています。