
お祭りでしか見かけない的屋、夏にしか見かけないかき氷屋だが、彼らは短い営業期間にもかかわらず、工夫してしっかり稼いでいる。しかも、イベントの減少や少子化といった逆風に直面しながら。年間通じて販売できないというデメリットをメリットに変える、賢い稼ぎ方とは?※本稿は、坂口孝則『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?「しぶとく生き残るあの店」にはワケがある』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
原価率の低い綿あめでも
利益を生み出すのは難しい
もしも年に1回1日だけ働いて1億円を儲けられたら、その他の日は遊んでいてもかまいませんよね。では、的屋の実際の売上や原価はどれくらいなのでしょうか。
これはよくいわれる通り、屋台の中では、綿あめがダントツに原価率が低いといわれます。コストはバーナーと砂糖だけですからね。またかき氷、粉物も原価率が低いです。
1日6時間ほど開店したとしましょう。そして、2分に1個の商品が売れ、さらに客単価が800円とします。800×30×6≒14万円です。いくつかの現場報告として、1日に売上が15万円というのを見ました。ですので、さほど遠くない数字なのでしょう。
ですが、このすべてが儲けになるわけではありません。光熱費や人件費がありますし、材料費もかかります。
また他の支出として、互助会費があるといわれます。いわゆる場所代としての会員費ですね。これらを引くと、必ずしも儲かる仕事とはいえません。
的屋業は正月の期間がもっとも忙しく、その後、花見の需要、夏祭り、秋祭りの需要と続きます。そこで稼いだお金でゆっくり次の祭りまで休む人もいれば、時間があるときには建設現場等で働く人もいるようです。