
タバコが斜陽産業になって久しいにもかかわらず、街のタバコ屋は今も生き残っている。業界全体の苦境とは対照的に儲かる店たちに共通するのは、モノを売るための考え尽くされた工夫だ。時代遅れとさえ思える商品が、なぜ再び売れるのか?※本稿は、坂口孝則『駄菓子屋の儲けは0円なのになぜ潰れないのか?「しぶとく生き残るあの店」にはワケがある』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
誰も買わないニッチなタバコが
置かれているのは理由があった
タバコ屋は、タバコ市場が基本的には右肩下がりになる中、定期的に買ってくれるお客、あるいは一度に大量のタバコを買ってくれるお客に支えられています。
タバコ市場の縮少は個人ではどうしようもありませんし、タバコ自体は割引販売もできず、価格で他店と差別化はできません。となると、いかにお客個人とつながるかしか手段は残っていないわけです。
そんな中、生き残りを図るタバコ屋が行っている創意工夫を紹介します。
まず有効なのは、品揃えの多様化です。みなさんも、街中のタバコ屋で、やたらとたくさんの種類を揃えている店を見かけませんか。見たことがない外国産タバコまで揃えていますよね。日本の代表的なものだけではなく、ニッチな層に向けて、広い品揃えを誇っています。
私も喫煙者だった頃には、とにかく品揃えが多い店舗に行きました(現在は健康診断でE判定が連続したために、医師から紙巻きの喫煙を控えるように勧められ、加熱式を多少楽しむ程度です)。
従来の紙巻きタバコに加え、近年人気が高まっている加熱式タバコ製品を積極的に取り扱ってお客のニーズに応えていました。