さらに、相手の発言にうなずく、共感する、意見を返す――。 こういった「反応する力」を磨くことも、 対話力を高めるうえで欠かせません。試験英語は情報処理ですが、英会話はキャッチボールです。シンプルでも、自分の言葉で返す力をつけることが、 実践的な英語力に結びついていきます。

 TOEICスコアを 昇進や採用基準に取り入れる企業は多いです。英語力の見える化としては有効ですが、 スコアが高くても、実務で通用するとは限りません。ビジネスの現場で求められるのは、 相手の意図を読み取り、 自分の意見をわかりやすく伝える力です。

 メールのやりとり、電話での調整、 会議でのちょっとしたコメント――文化や価値観の違う相手と 関係を築くには、 伝える力に加えて「対話する力」が欠かせません。この対話力は、単なる語学力ではなく、 コミュニケーション能力そのもの。どう磨けばいいのでしょうか?

 まず、下記の9つの表現を覚えて、徹底的に使ってみてください。状況に応じて使い分けることで、 対話力の実践につながります。

【絶対覚えたいカテゴリ別・対話表現9つ】

【共感】
●That’s a good point.(それは良い意見ですね)
●I see what you mean.(おっしゃることは分かります)
●I understand how you feel.(その気持ち、分かります)

【確認】
●Let me make sure I understand.(確認させてください)
●So, what you’re saying is...(つまり~ということですか?)
●Just to clarify, do you mean...~(~という意味ですか?)

【協調】
●Let’s find a solution together.(一緒に解決策を見つけましょう)
●How about we try this approach~(この方法を試しませんか?)
●I appreciate your input. Let’s move forward.(ご意見感謝します。進めましょう)

 こうした「聞く・共感する・確認する・提案する」ための言葉を、自然に言えるようになることが、逆転への第一歩になるでしょう。

 日本人にとって、英語は長いあいだ「試験の道具」でした。文法を覚え、リスニング問題に慣れ、 正解を選ぶ技術を磨く。それ自体は努力であり、 否定されるべきものではありません。

 しかし、その先にあるべき 「実際に英語を使って世界と関わる力」には 届いていないのが現実です。英語を使って他者と関わるときに求められるのは、 正確さよりも、 相手の意図を汲み取り、 自分の考えをわかりやすく伝える力です。

 この力には、 「共感する姿勢」「状況を読む力」「自分の考えを持つこと」など、 語学以外のスキルも大きく関わってきます。語学力そのものよりも、 「どう話すか」「誰と、どんな目的で話せるか」が重要視されるのです。

 英語力とは、何点を取れるかではなく、 誰と、どんな関係を築けるか。今こそ、本当に使える英語を学び直しましょう。