そもそも市場価値とは何か?
AIに代替されづらいスキル

「市場価値」とは、あなたという人材が他社や他業界でも必要とされるかを測る指標です。

 単にスキルの有無だけでなく、実績、考え方、再現性、人間性など複合的な要素で構成されます。AIの台頭によって、単純・定型的なスキルの市場価値は下落傾向にあります。

 一方で、「文脈を読み取って問題解決できる力」「問いを立てる力」「人を動かす力」「変化に適応できる力」など、人間特有の思考力・感性に基づくスキルへの評価は相対的に上昇しています。

 そもそも人間特有の能力、AIに代替されづらいスキルとは何なのか。

 AIと人間の根本的な違いは、「自ら目的を設定し、他者と関係を築きながら、課題解決をする力」です。AIはデータをもとに優れた情報処理能力を持ちますが、その前段階にある「問題提起をする」ことや「意思決定を行う」「共感をする」など、人間特有の能力は持ち合わせていません。そのため、対人コミュニケーション力、意思決定力、課題設定力のスキルはAIに代替されづらいと言えるでしょう。

 では、キャリア形成の土台となる20代において、どんなスキルを身につけることで市場価値が高まるのでしょうか。

20代が“つぶしが効く人材”になるには?
汎用スキルの重要性

 ビジネススキルには大きく2種類あります。

 1つ目がポータブルスキル(汎用スキル)です。これは、業界や職種を問わず応用可能なスキルであり、「人間的な働き方」に深く根ざした力です。代表的なものに、コミュニケーション力、プレゼンテーション能力、マルチタスク力、プロジェクトマネジメント力、チームワークなどがあります。

 例えば、「提案を通すために関係部署と調整しながら進めた経験」「トラブル時に冷静に課題の原因を分析し、解決に導いた経験」などは、どの業種・職種でも価値あるものです。こうしたスキルは、職場が変わっても“持ち運び”ができるため、「つぶしが効く力」として非常に重要視されています。