一方で、専門スキルが不足していても、20代で高く評価される方もいます。そういった方々の共通点は、現職での姿勢やスタンスにあります。

 例えば、新しいアプローチを自ら考え実行し、行動量を担保しながら成果を積み上げてきたこと。自分の成功体験をチームに共有し、標準化に貢献したこと。そして、高い目標を掲げ続ける姿勢など。一見スキルとは関係なさそうに見えるこうした姿勢も、実はポータブルスキルとして高く評価されるのです。

 なぜなら、優れたテクニカルスキルがあっても、再現性がなかったり、周囲と協業するなどのポータブルスキルがなければ、成果につながらない可能性が高くなるからです。特に、専門職の場合、両者がそろって初めて、仕事の価値が最大化されるのです。

「自分を客観視する力」が
最大の武器になる

 またAI時代において、ポータブルスキルと並んで重要なのが「自分を客観視する力」、つまり内省力です。

 なぜなら、変化が激しく、正解が定まらないAI時代において、自ら学びを深め、軌道修正しながら前に進むために不可欠だからです。

 転職相談の現場では、自分の強みや課題を正しく捉えられていないがゆえに、選考でのアピールが的外れになってしまうケースも少なくありません。

 例えば、現職での一時的な成功体験に自信を持ちすぎてしまい、その経験が全てだと捉えて自己アピールをすると、企業側の求める人物像とのズレが生じて、評価につながりにくくなることもあります。

 自分の経験を冷静に振り返り、「なぜ成功したのか」「次に生かすには何が必要か」と考える習慣は、20代の成長を加速させる大きな武器になります。 これは、実践→内省→改善という“学びのサイクル”を回す力ともいえ、AIには真似できない人間ならではの成長力です。

 AI時代にキャリアの落とし穴に陥らないためにも、常に自身を客観的に捉えながら、新たなことに挑戦し、変化に適応する力を養っていくことが非常に大切です。