現場実習
実習前には地域警察官の必携アイテムを用意するように奈良原に指示された。「署長訓受でメモ取るときに安っぽいメモ帳じゃ失礼にあたるだろ。だから革張りのA4ノートにしておけ」「あんまり高級そうな腕時計をつけていると目を付けられるぞ。時計は安っぽいスポーツウォッチにしろ」…体裁にこだわる奈良原(警察学校の教官)は持ち物を事細かく指定し、われわれはその指示どおりに準備した。
あいさつ回り
最初に署長に「申告」が行なわれる。申告要領は細かく決められており、署長室に入る際、先頭の者が「入ります」と言ってから順に入り、最後の者が入り終えて「入室終わり」と言ったら、最初に入った者が「敬礼」と言い、全員揃って敬礼し、「警察学校学生××巡査ほか▲名は…」といった感じで「申告」を行なう。派遣の前日、奈良原に練習をさせられ、及第点に達するまで何度も何度もやり直しをさせられた。
交番所長
通常の交番には階級が巡査部長以下の者しかいないが、一部の主要交番には警部補である交番所長が就いている。ちなみに他県には警部がいる「警部交番」という交番があり、一部では免許更新なども扱っているそうだ。もはや小さい警察署である。
オフ会
当時、「2ちゃんねる」から発生したオフ会が流行していた。「大盛りネギだくギョク」をいっせいに注文するという「吉野家オフ会」が有名。このとき遭遇したのは、キアヌ・リーブス主演のヒット映画「マトリックス」パロディのオフ会だと推測される。
撮影された際の対応マニュアル
最近、警察の職質動画がネット上にいくつもアップされるようになり、ここ数年で対処法についての通知が出された。基本的には相手に撮影を止めるように説得するしかない。個人的には日本の警察もアメリカのように顔カメラを装着して、動画として記録するべきだと考えている。ちなみに東京拘置所では一部の刑務官が顔カメラを装着するようになった。
班長
所轄署では警部補のことを係長、巡査部長を主任、巡査長を班長と呼ぶ。
警察は狭い社会
ほかにもあいさつ回りに行く先々で「××助教によろしく言っといてよ」とか「□□教官、元気?」などと言われた。警察学校に戻ってから実際に教官や助教にその旨を報告すると、「おお、あいつ元気でやってっか」と破顔するのだった。その一方、「えっ!? あいつ、変なこと言ってなかったか?」と警戒する教官もいた。変なことでもしたのだろうか。