その後、シスコの株も急落しているのに気づいて慌てて売却したんですが、これも4割ほどの損失でした。同じ2001年のことです。「もう俺、バカ、バカ、バカ、バカ!」って毎日自分に怒っていました(笑)。 

――両社の株とも証券会社や友人にすすめられるがままに、自分で調べることなく購入したのですか。 

 そうです。シスコをすすめてくれた友人は本当に天才投資家で、信頼しきっていました。例えばNetflixの株を8ドルぐらいで買って、その後、約200倍に上がっています。  

 シスコの株が急落したときに、彼に「おい、シスコの株どうなってんだよ!」って電話したら、「お前、まだ持ってんのか?」って言われて(笑)。こちらがおカネを払ってアドバイスをお願いしていたわけではないので、怒るに、怒れない。 

 証券会社の担当者には一応文句は言いましたが、怒ってもおカネが戻ってくるわけではないので、結局、学習することが大事だなと頭を切り替えました。 

 そのときに気づいたのは、自称天才の俺でもバカなんだということです。自分はそれなりに頭がいいと思っていたんですが、得意な分野と、不得意な分野があるという、当たり前のことを再認識しました。 

 そして、個別株の投資は、自分には向いていないし、そもそも勝てないと考えました。これが一番大きな学習です。 

 勝つためには、徹底的にその会社や業界のことを調べて、毎日数字を追いかけて、売買のタイミングを見計らわないとダメです。 

 でも、勝負する相手は僕より投資に詳しい。機関投資家の運用担当者やファンドマネージャー、年金基金のマネジャーらプロの投資家です。彼らはもしかしたら、自分が株を買おうとしている会社の社長と、定期的に食事をしているかもしれない(笑)。機関投資家であれば、十分あり得るじゃないですか。自分よりも多くの投資の判断材料を握っているはずです。