そんなプロの投資家が明日売ろうとしている株を、自分は買おうとしているかもしれない。そんなプロを相手にして「自分は大丈夫か?」と謙虚になったんです。
――その考えに至ったのは、APPとシスコの株で大損してからどれぐらいたってからのことですか。
2分(笑)。もう個別株はヤダって。当時はほかにも個別株を持っていて、全資産の約6割を個別株が占めていましたが、ほぼすべて売り払って、投資信託のインデックスファンドに切り替えました。それからはほとんどインデックス投信です。
今は資金に余裕があるので、個別株も少し持っていますし、株価が暴落したら買い増すこともあります。しかし、個別株はあくまでも余剰金が生まれたらつぎ込んでおいて、あまり株価の変動は見ない、一喜一憂しないようにしています。
このインデックス投信を中心とした投資スタイルの最大のメリットは、資産形成がうまくいっただけではなく、精神的な安定にもつながったことです。投資のストレスがなくなりました。
個別株で大儲けするのに
人生は忙しすぎる
――先ほどの2社の株価が暴落したときは相当なストレスだったと思いますが、どんな気分でしたか。1日ではじけたのか、それとも1カ月ぐらいかけて徐々に下がっていったのですか。
そもそも株価の動きをきちんと見ていなかったのも、失敗の原因の一つです。あ、今日下がった、今日も下がった、というのならまだいいんですけど、え、いつの間に!っていう感じでしたから。
当時の僕は人生が忙しいんですよ(笑)。仕事をして、趣味のバイクでツーリングしたり、友だちと遊んだり、彼女とのデートもある。毎日、株価を確認して、細かいニュースをチェックしたりしていませんでした。
要は、自分は個別株投資に向いていないということです。そういうことができないし、好きになれない。