動き続けていれば、やる気が出てくる

 このスケジュールという「強制力」は、僕もフル活用しています。
 プルデンシャル生命の営業マンだったころから、僕はスケジュール帳を常にびっしりと埋め尽くしています。アポイントが決まっていれば、「調子が悪い」「気が乗らない」など四の五の言ってられません。そのアポイントに向けて準備をして、時間がくれば出かけていかなければなりません。

 これがいいんです。気乗りしないままであっても、アポイントを遂行するために動き続けていれば、だんだん気持ちも前向きになってきますし、「いいこと」にも遭遇します。スランプを抜け出す特効薬は「動く」ことなのです。

 そのためにも、「強制的」に自分を動かすために、数週間先までスケジュール帳をびっしりと埋め尽くす。それは、「将来のダメな自分」のために“愛の鞭”を用意するようなものなのです。

 そういえば、僕は年に2回は1週間ほどの休暇をとって、家族で海外旅行に出かけることにしていますが、必ず、帰国した当日に、重要なアポイントを入れることにしています。

 時差ボケを強制的に修正するとともに、一気に“仕事モード”に切り替えるためです。1週間以上も休暇をとると、いろいろと言い訳をつくって、だらだらと過ごしてしまうことを自分でよくわかっています。だから、帰宅してシャワーを浴びたら、すぐにアポイントに向かいます。そうすることで、強制的に通常の“仕事モード”に戻らせるというわけです。

「他者」を巻き込むことで、「強制力」を生み出す

 もうお気づきかもしれません。
 僕は「スケジュール帳が強制力」という言い方をしましたが、正確に言えば、「強制力」を与えてくれているのは、そのアポイントに応じてくださっている「他者」にほかなりません。その方にご迷惑をおかけするわけにはいかないと思うからこそ、僕たちは強制的に動かざるを得なくなるわけです。

 これは、野村忠宏さんのケースでも同じですね。あの場合は、まさに細川先生という「他者」が強制力そのものだったわけです。つまり、「他者」をうまく巻き込むことによって、さまざまな「強制力」をつくり出すことができるということなのです。

 たとえば、「宣言」するのも効果的です。
 僕は、プルデンシャル生命時代に「日本一になる」と宣言していましたが、あえてそうすることによって、僕は「他者の目」を意識せざるを得なくなって、強制的に頑張らざるを得なくしたわけです。

 トップアスリートのなかには、“ビッグマウス”で知られる人がいますが、それは「宣言」することによって、自らに「強制力」を効かせることを狙っているからだと思います。実際、元サッカー選手の本田圭佑さんは、強気の発言で話題になりましたが、のちに「自分で言ったことに、逃げ道をなくすためだった」と語っておられます。

お酒をやめるとっておきの方法

 仕事の「期限」を切るのも効果的です。
 その仕事の関係者に、「○月○日までに○○の作業を終えます」と伝えてしまったら、もう後にはひけない。その期日に向けて、みんなも準備を進めるわけですから、迷惑をかけないために、その作業を完遂するほかなくなります。ここに「強制力」が働くというわけです。

 こんなやり方もあります。プルデンシャル生命に入って、誰も会ってくれなくてズタボロになっているころ、僕は思い切ってお酒をやめました。

 本当はお酒が大好きで、特にTBS時代はみんなとワイワイと朝まで飲むことが多かったのですが、そのときはとても楽しいのですが、やっぱり翌日に疲れが残ってしまいます。それに、明日の朝イチでお会いするお客様には、僕が朝までお酒を飲んでいたことは関係のない話ですし、そもそも、朝まで飲んでいるようでは、まともな準備ができているはずもない。せっかく会ってくださるお客様との面会時間を、最高の時間にするためには、酒なんか飲んでる場合じゃないことに気づいたのです。

 ところが、夜に会食に行くのも仕事のうちで、そういう場に行くとついついお酒を飲んでしまう。「1杯ぐらいはいいや、2杯ぐらいはいいや、今日はもういいや」となってしまう自分がいることもよくわかっている。だから僕は、会食には必ず車で行くことにしました。そうすれば、飲酒運転で警察に捕まりますから、強制的にお酒は飲めなくなる。つまり、「警察」という強制力を利用したというわけです。

 このように、「他者」を上手に巻き込むことによって、僕たちは、たとえやる気がなかったとしても、やらざるを得ないという「強制力」をつくり出すことができます。そして、意思の力に頼らずに、「自分の弱さ」を乗り越えることができるようになるのです。

(この記事は、『超⭐︎アスリート思考』の一部を抜粋・編集したものです)

金沢景敏(かなざわ・あきとし)
AthReebo株式会社代表取締役、元プルデンシャル生命保険株式会社トップ営業マン
1979年大阪府出身。京都大学でアメリカンフットボール部で活躍し、卒業後はTBSに入社。世界陸上やオリンピック中継、格闘技中継などのディレクターを経験した後、編成としてスポーツを担当。しかし、テレビ局の看板で「自分がエラくなった」と勘違いしている自分自身に疑問を感じ、2012年に退職。完全歩合制の世界で自分を試すべく、プルデンシャル生命に転職した。
プルデンシャル生命保険に転職後、1年目にして個人保険部門で日本一。また3年目には、卓越した生命保険・金融プロフェッショナル組織MDRTの6倍基準である「Top of the Table(TOT)」に到達。最終的には、TOT基準の4倍の成績をあげ、個人の営業マンとして伝説的な数字をつくった。2020年10月、AthReebo(アスリーボ)株式会社を起業。レジェンドアスリートと共に未来のアスリートを応援する社会貢献プロジェクト AthTAG(アスタッグ)を稼働。世界を目指すアスリートに活動応援費を届けるAthTAG GENKIDAMA AWARDも主催。2024年度は活動応援費総額1000万円を世界に挑むアスリートに届けている。著書に、『超★営業思考』『影響力の魔法』(ともにダイヤモンド社)がある。