ニュースな本写真はイメージです Photo:PIXTA

ChatGPTなどのAIを文章作成に使う人が急増している。だが、そのまま使えば「ウソや誤解」を見逃し、大きなミスにつながることも。たとえAIが間違えても、責任を取るのは人間だ。AI全盛の今こそ求められる「使いこなす力」とは?※本稿は、石黒 圭『読み手に届く文章技術』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

生成AIが生み出す文章は
教科書的で目新しさは皆無

 テキスト生成AIは高度な文書生成機能を持つAIですが、その構造上、いくつかの弱点を持つことが知られています。ここでは、その短所を4つほど挙げておきます。

 短所の1つ目は、生成される文章が教科書的であるということです。内容が常識的で、読まなくてもわかる、刺激に乏しい文章が生成されやすいということです。

 これは、Web上の膨大なテキストデータを学習しているためだと思われます。膨大なデータから確率的に導きだされる考えは、必然的に人間社会の多数派の考えになります。

 その結果、私たちもよく知る、常識的で陳腐な考えに落ち着いてしまうわけです。

 短所の2つ目は、生成される文章に新規性が乏しいということです。データベースのなかにないことは導きだせず、あくまでも過去の焼き直しになります。

 論文らしきものは書けると思いますが、独創的な発想の論文を生みだすことは難しいでしょう。

 また、最新のデータは組みこまれていなかったり、従来の多数派の考えのなかに埋没してしまったりするので、その点でも新規性に乏しいことは知っておく必要があります。

嘘が混じっているのに
信じきるのは危険

 短所の3つ目は、生成される文章に個性が乏しいということです。