投資ファンドによる“ゴールドラッシュ買い”は株価を膨れあがらせるが、この膨張はたいていの場合、当該企業が持つ長期的経済性の実態とはかけ離れている。これと正反対なのが“パニック売り”であり、ウォーレンみたいな長期投資家の評価額と比べて、数分の一の水準まで株価を萎ませる可能性がある。
基本的に、ウォーレンの顔に頬笑みをもたらすのは、短期株取引専門のトレーダーによる“パニック売り”だ。面白いことに、短期取引による“パニック売り”現象は、過去70年間にわたり、ウォーレンに金の卵を提供しつづけてきており、これから先の70年間も、山吹色に輝くチャンスを生み出しつづけるだろう。なぜなら前述のとおり、市場の90パーセントは短期重視のトレーダー(彼らは“投資家”を自称する)が占めているからだ。ウォーレンからすると、自分を超大金持ちにしてくれたのは彼らなのだ。
億万長者でありながら
修道僧のように暮らす
金はアフリカなどの場所で地中から掘り出される。
我々は金鉱石を溶かしたあと、
鉱山とは別の穴を掘って保管室を据えつけ、
ふたたび地中に延べ棒をしまい込む。
これを誰かが火星から眺めていたら、
きっと首をひねっていることだろう
ウォーレンはこう主張する。農場や集合住宅を所有しているなら、貸し出して賃料を徴収できる。株を所有することは、金を稼ぎ出すビジネスの一部を所有することと同じ。現金で10万ドル持っているなら、銀行に預けて利子を得られる。しかし、金を所有していても、この資産自体は何の収入も生み出さない。儲けが出る唯一の“望み”は、将来、購入時の価格より高く買ってくれる人が現れること。“望み”に頼る投資は、発想として下の下である、というのがウォーレンの一貫した信念だ。