当事者意識を持つことで
仕事の腕がアップする
では、当事者意識を持つことで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
(1)人事評価が高くなる
最初のメリットは、人事評価への影響です。これは多くの人が予想している以上に大きな影響があります。
前述のとおり、人事評価は、客観的な業績や成果の数字よりも、役割外の行動を上司が見ていることの影響の方が大きいことが明らかになっています。誰かを助けたり、会社の行事に積極的に参加したりするといった組織市民行動が、実際の業務成績以上に評価に影響します。
「私は自分の時間を捻出して、誰かを助けているのに、それって私の成績に関係しないでしょう」「評価に関係しないことはやりたくない」という声をよく聞きますが、関係ないどころか、評価に直結します。役割外での働きぶりや態度が大きく影響するという現実を理解して、合理的に当事者意識を発揮することは、確実にあなたの評価向上につながるのです。
(2)キャリアアップのチャンスが増える
2つ目のメリットは、回り回ってキャリアアップのチャンスが増えることです。
当事者意識を持って行動していると、上司を含めて周囲の人たちから「頼れる存在」と見られるようになります。隣の部署など、「斜め上」の先輩や他部署の上司からも、「この人なら安心して任せられる」という信頼と評価を獲得できるのです。
そうすると、その人のところに、何かと面白い話が集まるようになります。ひいては重要な仕事や、より大きなプロジェクトを任されやすくなるのです。
「頼まれごとは試されごと」という言い方がありますが、どんな仕事でも全力でこなせる人、たとえそれが本人の責任とは関係ない、誰かの尻拭いのような仕事であっても、そういう仕事に全力で取り組める人には、何を任せても成果を出してくれるだろうという信頼が生まれます。そうなれば、自分が本来やりたかった仕事や、より面白い仕事が自然と集まってくるようになります。
キャリアにおいて、社内外を問わず他の人からの信頼をいかに得るか(つまり、「信頼係数」をいかに高めるか)は、重要な戦略の一つです。当事者意識を発揮することは、この信頼係数を効率的に高める方法なのです。