例えば、店舗の求人情報のところには、こんなセールスポイントが強調されている。

外食チェーン最大手の企業が運営するはま寿司だけに、新人教育のノウハウはバッチリ!イラストが組み込まれた業務マニュアルや、実際の動きを見られる動画マニュアルがあるので、飲食業界が初めてでもすぐになじめます。実際、事務職や清掃、軽作業員など、接客未経験で入った先輩がたくさん活躍中!
はま寿司の求人情報サイトのスクリーンショットはま寿司の求人情報サイトのスクリーンショット

 優れたマニュアルが完備されているので、これをしっかりと遵守するだけで、未経験者でもミスなく業務を行うことができるというわけだ。仕事紹介のページのなかでも「はま寿司はマニュアルに沿ってできる作業がほとんどです」と説明する先輩社員の声も掲載されている。

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「それの何が問題だというのだ、未経験のバイトなどをたくさん使う外食チェーンならば当然だろ」という声が聞こえてきそうだが、まったく問題ない。このような形で「作業」をマニュアルに沿って行うことは飲食店だけではなく、接客の現場、さらには製造工場などあらゆる業界で行われている。

 しかし、問題がないというのはあくまで「作業」に限定した話だ。

 実際に企業の依頼を受けて危機管理マニュアルを制作してきた立場で言わせていただくと、「異物混入」をマニュアルに沿って行えば防げるという考え方はかなり問題がある。

 異物混入というのは作業手順を飛ばしたり、間違えたりということが原因で起きるものではないからだ。