
誰にも看取られず、自宅で亡くなる「孤独死」。高齢化や核家族化が進むなか、その件数は年々増加の一途をたどっている。ときに「かわいそう」と語られがちな最期だが、本当にそうなのだろうか。法医学者として現場のリアルを見つめてきた高木徹也氏が “ひとりで死ぬ”ことについて考察する。※本稿は、高木徹也『こんなことで、死にたくなかった 法医学者だけが知っている高齢者の「意外な死因」』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。
2050年の日本は
国民の約38%が高齢者
「高齢者」とは歳を重ねた人を指す用語ですが、正しくは何歳になったら「高齢者」と呼ばれるのでしょうか。
実のところ日本においては、時代や地域によって高齢者の定義が変遷しており、明確な年齢の定義はありません。ただ、世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者と定義しており、日本でもおおむねこの定義に則っているようです。
国の人口における65歳以上の割合が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ぶのが世界基準になっています。日本は1950年当時、65歳以上の人口は5%未満でした。しかし、2023年では人口1億2435万人のうち、65歳以上の人口は3622万人を超え、割合にしてなんと29.1%。「超!超高齢社会」の国となったのです。
「先進国は高齢化のペースが早い」とは言われるものの、日本は飛び抜けて早いペースで高齢者の割合が増加しており、2050年には約38%が高齢者になるとも言われています。